【ゲーム開発】曖昧なUXを明晰にしたい【開発ナレッジ】
こんにちは、涜(とく)です。
今回は何かと語られるUXについての話を書いてみます。
ちょいちょい現場で出る話題ではあるのですが、なんだかそれを明確に言語化できている方が少ない印象でしたので、私なりに言葉にしてみることにしようかなと。
UXとは
そもそもUXとは何かですが、ざっくり言うとコンテンツを通して得られるユーザーの体感のことです。
また、コンテンツの独自性や優位性を高めるために作られる要素でもあります。
ですので、開発時に挙がる内容的には「現状のものだとUXが悪いので直そう」とか、「UXの流れ的にこうだから……」みたいな感じですかね?
とにかくユーザーのプレイングの感覚を指す言葉であり、どのような考えでコンテンツに触りどんな需要を感じているのかとか、これは楽しいのか面倒なのかとかそんな感じで使われます。
私の知る現場では主にエコシステム面での良し悪しに用いられることが多く、DやP、クライアントの語る主観的/半客観的?なUXに基づいて調整がなされる場合がほとんどです。
はい、UXって結構重要なのです。しかし、大体主観で決まっているように思えます。
別に主観的さ自体は開発の芯になり得るので良くもあるのですが、それは意見を出す彼らが開発能力やプレイ感覚の感受性、想像力に多少優れていることが前提です。
そうでない場合は、チーム内外の感覚に優れていそうなメンバーの監修を受けることになるのですが、それももちろん彼ら自身の主観になります。
それが対象ユーザーの大方にとって相性が良いかは定かではありません。
つまり皆さんがゲームを遊んで感じる感覚というのは誰かの思い込みで作られているということです。良い体験を得られたと思えるゲームに巡り合えたのであればそれは僥倖です。
しかし、世の中様々あるゲームに対して色々なお気持ちが送られてくるのは、このあたりがユーザーとのギャップを生んでしまった場合であることでしょう。
もちろん表現したいものや狙いがあって敢えて主観的さを貫くことはよいことですが、一般的にある程度こうであるべきだよね?というのを定めるとはいかずとも、考えることをするための下地が無いと苦しい気がします。
そこで私なりにUXを掘り下げて、そのあたりを探ってみようと思います。
UXが"UX"のままだとあまりに抽象的
UX、UXと皆さん言われるのですが、それを聞くとどの部分のどんなUXについてなのかパッと聞いただけではよくわからず、文脈から察するしかありません。
そして察するということは、謎のコミュニケーションコストが発生し、且つコミュニケーションロスも発生するということです。
曖昧さは開発の敵なので、ぶちのめしていきたいと思います……!
UXを分けてみる
あくまで私なりにではありますが、UXが指すものを分類してみようと思います。
- 論理的UX:インゲームメカニクスに関連するUX
- 経済的UX:ゲーム内リソースや効率に関するUX
- 情緒的UX:ナラティブ的なものに関するUX
それぞれ掘ってみましょう。
論理的UX
いわゆるゲーム部分というか、メインの遊びの部分に関連するUXのことを指すと定義してみます。
関連するものを具体的に挙げてみましょう。
- メカニクス
- プレイヤーキャラクター、アイテム等の性能
- レベルデザイン(敵、ギミック等)
そのまんまではありますが、ロジックとよく呼ばれる部分の体感になると思います。
このあたりは多分最近ゲームに手を付けた人ほど、感覚が湧かないところかもしれません。
新しいゲームほど既存の型にはめて作ることがほとんどなので、プレイヤー側としても「あぁ、こういうタイプのやつね」で終わってしまうことが多いのかと思います。そうなるといざクリエイターとして作るときに困ってしまいます。普段から遊ぶときはどういう意図の設計なのか考えてプレイしてみると、一つ上のレイヤー的な楽しみを得ながら知見を貯められるかもしれません。まぁただの職業病なんですけどね。
元々このあたりは知見が曖昧且つ主観的に設計されがちで、関わったメンバーの設計思想が如実に表れます。その分横やりを刺すのは、難しいか荒れるかの二択になるイメージです。
また、これの良し悪しの表現の想定される意味合いも書いてみましょうか。
例
- 論理的UXが良い:メカニクスやギミックの噛合いが納得できる。など
- 論理的UXが悪い:手持ちの手段でまともに対抗できない。など
経済的UX
ゲーム内のエコシステムやプレイングコストにおける体感を指すUXと定義してみます。
"経済"というとお金か?ってなると思いますが、それだけではありません。
何かを得るために掛かるコスト、例えば時間、手間、消費アイテムの価値、数量など、よく語られるコスパ、タイパを気にする感じの効率厨が努力を惜しまないやつです。
(25/1/21追記)操作性もここに含まれるかもしれません。改善には開発が手を入れないといけませんが……。
ゲームに限らず現実でもそうですが、基本的に人間はめんどくさがりで、興味のないところほど効率化したくなるのが性です。
新しい物事は新鮮ですが、鮮度が落ちるのは非常に早いです。ゲームも最初は楽しいですが、だんだんやること変わらなくなってきますよね。
そんなときはむしろ、最適化に勤しむこと自体が自己満足につながる経験もあるのではないでしょうか?
これが、このUXが意識するところであると私は考えます。
例
- 経済的UXが良い:不便でない。適切なコスパが保たれている。など
- 経済的UXが悪い:ぼったくりが発生している。選択の余地が狭い。など
情緒的UX
分かりやすいとは思いますが、主にシナリオ、ストーリー、設定(誤用ではあるが世界観)、ナラティブにおける体感や納得を指すUXと定義してみます。
このあたり特に最近意識されているところだと思います。ユーザーからの要求が非常に高まっている感覚があり、本来これらが無くても成立するゲームであっても、他コンテンツとの差別化やクロスメディア化に伴ってクオリティー高く出してくるイメージが強いです。
またゲーム中でこれらの要素でないものに関しても、ユーザー側の受け取り方が情緒的である場合もあります。「このキャラのこの能力って(ゲーム上での表現はないけど)こういうことしてるんだろうなぁー」とか「この敵とこの場所でこの装備での決闘はエモい」とか言った具合でしょうか。
このあたりは作り手が意識していないことも普通にあるので、ユーザーコミュニティ内での遊びみたいなものが主導する場合もあるのですが、せっかくなのでこういう遊びがはかどるような下地作りはしてみてもよいのではないでしょうか?
例
- 情緒的UXが良い:シナリオ的納得感がある。など
- 情緒的UXが悪い:バグのせいで雰囲気が台無しになっている。など。
総括
こんな感じで、UXについて私なりの解釈で分類してみました。
色々ひっくるめてUXといってもよくわからないところがあったので、なんだかスッキリした気分です。
もちろん私の知らないUX解釈の仕方はあると思いますので、今後も気が付いたことがあれば考えをアップデートしていくつもりです。
この考えが少しでも開発の役に立てばよいなと思います。
それでは、どうかあなたのキャリアに悔いのなきよう。
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